イバン・イリイチの産業サービス制度(教育、医療、速度制度)批判思想を起点とするが、その後、実存主義、現象学、マルクス主義、構造主義を超えるべく、ミシェル・フーコーと吉本隆明を両輪として、ピエール・ブルデュー、さらにジャック・ラカン、アルチュセールらの大きな思想・理論を領有し、その構造論的転回をもって既存の社会科学の地盤変えをはかって、新たな理論地平を固有に開いている。自らで選択した現在理論家たち、リュック・ボルタンスキー、スコット・ラッシュ、モーリス・ゴドリエ、ジョン・アーリ、A・マッテラール、ロジェ・シャルチエ、バジル・バーンステイン、エドワード・アンドリュー、ポール・ラビノウ、A・L・アウスティン、ジャック・ドンズロらと直接知己となり、研究協力をうけ、さらにパウロ・フレイレ、マーシャル・サーリンズ、ジュリア・クリステヴァ、G・ルービン、ボードリヤール、デヴィッド・ハーヴェイ、サスキア・サッセン等、人類学・社会学・政治学・経済学・教育学・女性研究・精神分析理論、を超領域的に世界線で論じ、商品・サービス・交換の経済にかわって、資本・場所・ホスピタリティの場所経済を、社会主義・対・資本主義の産業的生産様式次元をこえて展望する。国家・市民社会・市場経済の社会構成体的な民族国家一元認識にたいして、バナキュラーな場所の多元均衡世界をビジョン化している。
西田幾多郎、三上章、三木成夫らの思考をふまえ、佐久間鼎、松下大三郎、金谷武洋らの日本言語理論から述語制の閾を抽出し、また日本の伝統文化・アートの文化技術を対象化し、<非分離・述語制・場所・非自己>の哲学原理を独自に抽出、分離・主語(主体)・社会・自己の西欧哲学原理を超える地平を拓く。
哲学設計から近代学問大系を超克する「超領域的」専門研究をもって、文化環境設計をなしつつ、同時にそれを企業環境設計・場所環境設計の実際現実へやくだてる研究生産をはかる。目的意識的実践(Praxis)に代わる、実際行為(pratiques)の理論場を拓いている。批判理論による規制条件の世界を総体的に対象化し、新たな可能条件の理論閾を拓く。
『超領域の思考へ』『ディスクールの政治学』『社会科学理論研究』『哲学の政治 政治の哲学』、『ピエール・ブルデューの世界』『ミシェル・フーコーの思考体系』『イバン・イリイチ』『吉本隆明の思想』、『哲学する日本』など。



キューバとメキシコを主に実証研究。第三世界の歴史現実が、世界構造をいかに規制しているか、また場所のバナキュラー文化の力強さの探究。西欧化・産業化の限界を照射する。
修士論文「キューバ教育の社会主義的変容」、博士論文「メキシコ教育の制度化過程に関する研究:1920−1940年」、『コンビビアルな思想:メヒコ世界から見えてくるもの』



学校化批判の総合的考察をへて、学校化schooling、教育education、学ぶlearningを識別し、学ぶ自律性から教育の限界づけた可能条件を、「ホスピタリティ教育」にみいだし、バーンステインとフレイレから新たな教育方法学、カリキュラム、研修方法を構成。他律様式と自律様式の多元的均衡の可能条件を設定する。
『学校・医療・交通の神話』『学校の幻想 幻想の学校』『教育の分水嶺』『学ぶ様式』『教育の政治 子どもの国家』『ホスピタリティ原論』など。



産業サービス制度化された教育・医療・速度の物象化を解読、商品生産の消費化を解読、商品再生産、サービスの制度化、賃労働・シャドウワークの固定化を超える、文化資本とホスピタリティ経済の可能性の探究へと至る。
『学校・医療・交通の神話』『消費のメタファー:男女の政治経済学批判』『消費の分水嶺』『欲望のアナトミア』『ホスピタリティ原論』『物象化論と資本パワー』など。



イリイチの『ジェンダー』『シャドウワーク』をへて、ジェンダー研究総体を渉猟、とくに精神分析フェミニズム理論、ラカン/フロイトから考察。経済セックス化された中性人間の産業世界・労働世界にかわる、男女の対幻想・対関係の場を拓く。
『経済セックスとジェンダー』『性・労働・婚姻の噴流』『ジェンダーと愛』『身体/セックスの神話』など。



社会の均質・均一空間、その監視化・規範化に代わる、場所環境の多元的可能性を都市・建築論批判などを媒介に探究。場所理論の創出をもって、具体的な場所環境設計をさぐる。
『場所環境の意志』『都市・空間・建築の根拠を探る』『都市化する力』など。



日本の伝統文化、アート、デザインを「文化技術」概念の創出をもってリサーチ、考察し、非分離技術、述語表出の設計原理を探究。またモネとルオーとカンディンスキー研究をすすめている。
『デザインとしての文化技術』『ホスピタリティ講義』など。



サービスに代わるホスピタリティの実際と新たな言説の生産。産業社会経済にかわるソスピタリティ/文化資本の経済の探究。
『文化資本論』『ホスピタリティ原論』『ホスピタリティ講義』『レクサス惨敗』など。



非分離・述語制・場所・非自己の日本原理を、古代、武士制、日本言語、文化技術から探究。西欧哲学原理に代わる、日本の文化哲学、本質的普遍性を探究。国学思想にかわる言説の生産を、宣長批判の先に開こうとしている。
『哲学する日本』『国つ神論:古事記の逆立解読』など。


さらに、趣味として「西部劇研究」、パブリックな文化世界と映画理論を考察。フィルム・ノワールとの対比によって、解読している。「スティーブ・マックイーン論」「ジェームズ・ボンド論」を準備中。文学批評としても、『批評と創造』を近刊、さらに太宰治論、横光利一論、大江健三郎論、ガルシア・マルケス論などをなし、近年まとめようとしている。