リュック・ボルタンスキー Luc Boltansky

Luc Boltanskyは、わたしがいろいろ会った学者のなかで、卓越しています。ブルデューとの共著もだしていますが、ブルデュー社会学を超えたのは、彼ではないでしょうか。
最初、彼とあったとき、通訳の三好さんも、翻訳が不可能になるという、論理思考の展開でした。そのまま、録音して、後に三浦さんが翻訳してくださいましたが、思考スキームの本源的な転換がなされています。
基本のキイ概念は、「シテ」です、これはわたしの「場所」論へ対応します。社会空間概念と心的概念と思想史概念の転換が同時的になされています。
大きな目で、穏健に語る彼に、わたしの思考をぶつけましたが、キャッチしえたのは、彼ぐらいでした。iichikoの国際版をちゃんと読んだのも彼です。 避妊・身体に関する著書、社会学の新著を送ってくれました。
彼へのインタビューなどは、『偉大さのエコノミーと愛』(EHESC出版局)におさめてあります。

エドワード・アンドリュー Andrew
Edward Andrewは、トロント大学の経済思想史。最初、カナダの彼にインタビュー、イアン・ハッキングにも依頼したのですが、酔っぱらってこれず、その晩、ア ンドリューの家でパーティをひらいてくれ、そこにハッキングもきましたが、愉しい談話のときをすごしました。
彼を、日本へ招き、レクチャーしたり、またジュネーブでの国際セミナーをわたしが開催し、そこにはジャン・クロード。パスロンも参加してくれました。皆 で、ディナーを愉しみながら、ブルデューが『世界の悲惨』を書いた頃のはなしで、パスロンへブルデューから電話がかかってきて、「俺がまちがっていると 言ってくれ」と深刻だったというエピソードが印象に残っています。つまり、ブルデューの思考がマルクス主義的になり、かつ国際知識人を組織化したころのこ とです。アンドリューならではの上手な聞き出し方で、パスロンは非常にまじめ、皆から慕われていますが、飲んでも真面目でした。アンドリューは、非常に茶 目っ気で、気さく、奥さんをふくめ、交流させてもらっています。わたしが、非常に高く評価しているのを、とても喜んでくれています。その経済思想史の書き 換えは、秀逸です。プルーストが大好きで、文学もふまえての思想史論です。

ジョン・アーリ John Urry
2016年に亡くなられてしまいました。わたしより2つ年上ですが、ランカスターとロンドンで、2度会いました、長身で温和な自信にあふれた学者でした。社会を 超える社会学として、社会概念空間をといかえすとき、societyの静態的な観方にたいして、mobilityの動きから、世界をとらえます、人もモノ も動いているという、当たり前のことですが、彼によって開削された閾です。